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エンゲージメントを高める「ソーシャル・レコグニション」

「ソーシャル・レコグニション」は社員同士が「褒め合う」ことにより「職場の居心地を良くする」ことが目的ではありません。
社員が「組織の中で自分の存在が肯定されていること」を実感し、その結果、「自発的に自分の役割を果たし、組織により貢献しよう」という「エンゲージメント」を向上させる「内発的動機の醸成」にあります。

エンゲージメント向上における「レコグニション」の重要性

「エンゲージメント」とは、「自分が所属する組織や企業に対する貢献意識」のことです。「エンゲージメント」が高まった社員は、組織の目指す方向に対して、その自らの役割を、高い責任感を持って取り組むようになるので、その持てるパフォーマンスが最大化されます。

「エンゲージメント」に影響を与える要因には、様々ありますが、その中でも、「継続的な満足感」「安心感」を従業員に与えることは、とても重要です。その「継続的な満足感」「安心感」を与えることに有効だと言われるのが、「レコグニション」です。

「レコグニション(recognition)」とは、人材育成においては、「社員個々の努力や実績を理解し、承認すること」で、会社によくある「永年勤務表彰」や「高業績者表彰」、またその表彰結果を「社内報で発表する」などは、「レコグニション」を制度化したものと言えます。

社員の「継続的な満足感」「安心感」を高めるには、一時的にしか満足感が得られない、「昇給や昇格」あるいは「賞与」などの金銭的なインセンティブではなく、経営層や直属の上司からの「承認」や「評価」、あるいは「感謝」などが有効です。

なぜなら、人間は誰でも、「期待されればそれに対して応えようとするもの」だからです。社員個々の能力や取り組みをしっかりと把握し、適切に「レコグニション」を与えることによって、社員の「継続的な満足感」「安心感」が高まり、それが「エンゲージメント」を向上させます。

エンゲージンメントをより高める「ソーシャル・レコグニション」とは

これまで、「レコグニション」と言えば、「組織(上司)から社員への一方通行な制度」のことを指していましたが、「ソーシャル・レコグニション」は、「組織内でメンバー同士が承認し合える体制作りや仕組み」のことを指します。

社員同士が褒め合い・認め合うための「サンクスカード」の導入や、そこに金銭的なものが含まれる「ピアボーナス」などは「ソーシャル・レコグニション」の一例です。

これらのための、HRツールも登場し、「ソーシャル・レコグニション」の普及を後押ししているため、「レコグニション」と言えば最近では、「ソーシャル・レコグニション」のことを指すようになってきている、と言っても過言ではありません。

2016年春。ショーン・エイカーは「なぜ、従業員の給料を上げても仕事への意欲が長続きしないのか」という研究論文の中で、「ソーシャル・レコグニション」の効果について以下のように述べています。

  • 「J社」では、表彰者の人数が10%増えるごとに、社員の定着率が3%、エンゲージメントが2%向上していた。

  • 「J社」では意欲の高い乗務員はそうでない人に比べ、顧客を感動させる確率が3倍高い。そして顧客に称賛される回数でも、上位10%に入る確率が2倍である。

  • 「S社」でも、従業員エンゲージメントのスコアは14%向上している

また、

  • 「昇給による満足感」と「ソーシャル・レコグニションによる満足感」は、どちらがどの程度持続するのか?昇給による給与水準はやがて「当たり前」と感じられるようになり、意欲の向上は長続きしない(同じレベルの意欲を維持するには、再び昇給する必要がある)

  • 社員同士が褒め合うプログラムは継続的に行われるため、意欲のレベルが元に戻ってしまうことは起こりにくい。

などと、発表しています。

「エンゲージメント」の向上。そのポイントとなる、「継続的な満足感」「安心感」を醸成する「レコグニション」を、より継続的、日常的に高頻度で行うことで、より確実に、「エンゲージメントの向上」を図ろうとするのが、「ソーシャル・レコグニション」と言えます。

エンゲージメント向上により内発的動機を高める

「ソーシャル・レコグニション」は社員同士の「褒め合い」で、「職場の居心地を良くする」ことが目的ではありません。社員が「組織の中で自分の存在が肯定されていること」を実感し、その結果、「自発的に、自分の役割を果たし、組織により貢献しよう」という「エンゲージメント」の向上、つまり内発的動機の向上にあります。

また、組織にとって本当は大切な人材であるのに、会社の状況により、そのメインの評価基準から外れ、評価されない人もいます。

こうした人が、周りから、皆に分かる形で賞賛され、それが給与にも反映されれば、そのような人材も、エンゲージメントが高まり、内発的動機が醸成されます。

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