営業力強化

なぜ営業力強化はなかなかうまくいかないのか?①
~売れない原因が可視化されないマネジメントだから~

売れない時代の営業のマネジメントはどうあるべきか?

高度成長期のように、「数をこなせば売れる」時代ではなくなった今の時代、営業のマネジメントは、どうあるべきなのでしょうか?

色々と策はあるでしょうが、「1つだけポイントを上げろ」と言われたら、「売れない原因」のうち、「目に見えない原因を把握すること」に尽きます。そして「見えない原因」を見えるようにし、皆でその改善に取り組むことが、今の時代の、営業のマネジメントのポイントです。

ただ、「もっと売ってこい!」というメッセージにしか聞こえない営業のマネジメント

営業のマネジメントで「売れない時代」に、「もっと売ってこい!」というメッセージなんて発するわけがじゃないか!と思う方も多いと思いますが、そう思っていても結果的には、ただ「売ってこい!」と言っているだけにしか見えない、マネジメントを行っているケースが少なくありません。

例えば、貴社の営業パーソンの人事評価はどうなっているでしょうか?多くの企業では「売上」で評価することになっている、または「売上での評価のウェートが他の評価よりも高い」という仕組みになっていると思います。ただ、「すべての企業がそうだ」というわけではなく、「新規開拓社数」「既存窓口開拓数」などで人事評価をしている企業もあります。人事評価の中身はともかく、これらの結果の評価指標だけで、営業パーソンを評価しているのであれば、それは、営業マネジメントとしてのメッセージが、「ともかく売ってこい!」と言っているのと大差ありません。

例えば、評価を「売上」だけで行っているということは、「どういう方法でも良いから売ってこい」という営業パーソンへのメッセージとなり、営業パーソンは、「どんなに頑張っても、結局、評価は売上だよね?」と受け止めます。その他の結果に対する指標も、似たり寄ったりのモチベーションを生みます。

このようなメッセージを受け取った営業パーソンは、「押し売り」をするか「小手先のテクニック」で売りつけるしかありません。「押し売り」では売上は伸びず、「小手先のテクニック」で売りつけられたとしても、「騙された!」と思った顧客は2度と買わなくなるので、ますます、売上は伸びなくなってしまいます。

「売れない原因が分からないから売れない」を脱却する営業のマネジメント

しかし、「売れ!」と言わない、あるいは、「売上を評価しない」なんてことになったら、営業パーソンはますます売らないのでは?と思う方も、多くいらっしゃると思います。確かに、企業の目的は「存続」で、その存続のためには、売上は必要であり、重要です。ですから「売るな!」とは言えませんし、「売上」を営業パーソンの評価にしてはいけないということはありません。では、どう営業をマネジメントすれば良いのでしょうか?

「売れない原因」が分かっているなら、それを改善すれば良いわけです。商品が悪いなら、改善する、価格が高いなら安くする・・・。しかし、今の時代は「売れない原因」が良く分からない、はっきりしないことが多いのではないでしょうか?そのような場合は、まず「原因」を明らかにすることが、営業のマネジメントでは重要になります。

今流に言えば、戦略(原因)を立て、つまり原因の仮説を立て、それを実行し、実行後に検証をして、これを繰り返すことで、正解の戦略(原因)にして、結果(売上)を出すというマネジメントが重要になってくるわけです。

営業マネジメントのポイントは「全員で営業戦略をやり切ること」

「いや、売上のための仮説(原因)を立てて検証していく、そんなことはわかっているよ」という方も多いですが、実際には、戦略(仮説)が検証できて、つまりは、「見えなかった原因が見える」ようになって、売上は向上しているのでしょうか?

戦略(仮説)は立てたが、きちんと実践していないので、売れない原因がはっきりしていないというケースも多いのではないでしょうか?そのような場合、大きく2つの傾向が、営業のマネジメントの現場に見受けられます。

  1. 「戦略」はあるがそのための「行動指標」がない、または不明確。
  2. 「一部」の人のみが戦略を実践。または全員の実践が期中でストップしたまま。
    ※一部とは営業部門でのケースもあれば、部門によって実践度が違うというケースもある

特に、2の「一部の人の実践」は、「今まで通りのやり方」を実践する人との対立を生み、それぞれが、頑張るほど組織内でのトラブルも起きやすくなります。また、こういった「一部の人のみの実践」や「実践の中断」に歯止めをかけるのが1.の「戦略」の指標でもありますが、それがなければなおさらトラブルが起きやすくなります。 今の時代は、「売れない原因」が見えにくい時代、つまり言い換えると、こうすれば売れるという正解がない時代と言えます。ということは、その「売れない原因」を見えるようにして、そこから立てた営業戦略とその指標にも正解はありません。もし、営業のマネジメントにおいて、「不正解」があるとしたら、それは、「立てた営業戦略を全員でやり切っていない」という一言に尽きる、と思われます。

見えない原因を見えるようにするのが営業のマネジメント

営業戦略を「全員一丸となってやり切る」ためのポイントとなってくるのが、戦略の「指標」です。他部門も巻き込みつつ、この戦略の「指標」を皆で着目し、時には評価指標にもして、指標の達成に邁進することが、売上の達成には不可欠です。

「見えない要因」を、戦略(仮説)、つまり「見える要因」として立案し、その指標を組織全体で追いかけ、やり切り、検証し続けることが、今のような、「売れない時代」の営業マネジメントのポイントなのです。

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