評価制度

これからの評価制度の課題②
~【OKRブームの背景】OKRとは何か? ~

経営から部門、個人が「一本の線でつながる」ことによる組織パワーの発揮というOKRの基本精神は、本来目標管理が持っていた基本精神に通じるものがあると言えます。

  1. そもそもOKRとは何か?
  2. OKRのメリット
  3. KPIとOKRの違い
  4. OKR運用のポイント
  5. OKRと人事評価を直接結び付けない

1.そもそもOKRとは何か?

「OKR」は「目標管理」のツールです。「Objective & Key Result」の頭文字をとって「OKR」と呼ばれています。『ハイアウトプットマネジメント~人を育て、成果を最大にするマネジメント~』(著者: アンドリュー・S・グローブ他)でその原型が紹介されました。

「Objective」は「野心的な目的」(どこへ向かいたいのか?)「Key Results」は「目的を支える主要な結果」(目的をどのように達成させたいか?)で、例えば「コールセンターの利用満足度日本一を獲得する」を「Objective」としたら、「回答完了率97%以上」「回答完了時間1分以内」という「Key Results」を設定し、「Key Results」を達成すると、「利用満足度日本一」がとれるという因果関係が確認できれば、「OKR」として正しいと言える・・・というものです。

2.OKRのメリット

最も大きいメリットは、社員各自の目標が会社の目的に対してしっかり「意味付け」されることです。会社の目的と個人目標のつながりを社員が強く実感できるようになれば、より大きな力が生まれます。「OKR」の一般的な進め方は、

  1. 経営層が会社のObjectiveとKey Resultを創出し、社員に説明する

  2. それを受けて部門長が部門のObjectiveとKey Resultを策定する

  3. 部門のOKRを受けて個人がObjectiveとKey Resultを設定する

となっており、経営の「OKR」から部門、個人の「OKR」までが一本の線でつながっていきます。そうなれば、個人の目標に意味が生まれ会社の「Objective」に向かって一丸となってがんばっていけるという状態になるというわけです。

3.KPIとOKRの違い

KPI(Key Performance Indicator)もOKRも「目標達成のための中間指標を設定する」という点では一緒です。KPIとOKRの違いは、 KPIは導入を部門単位で決めるのに対しOKRは全社で決める点です。つまり全ての部門と個人のOKRが達成されれば、会社のOKRも達成されるように設計するのがOKRです。

4.OKR運用のポイント

  • OKRの進捗は「見える化」し「シェア」をする
    従来の目標管理のように半期に一度振り返るのではなく、常に意識出来るように図表等にし、進捗や変化があれば書き変えること。

  • 1on1ミーティングで達成を支援する
    従来の目標管理における上司の進捗管理のための対話ではなく、本人の達成に向けた「不安」や「障害」を上司が聴き、「支援できることはないか?」をメンバーと一緒に考え、その支援をするための対話をタイムリーに行う。

  • OKRへフォーカスする
    設定したOKR達成以外の仕事について、マネジャーがそれを整理する。それが発生した場合「やる・やらない」「今すぐ・後で」を整理してメンバーがOKR達成に集中できるようにする。

5.OKRと人事評価を直接結び付けない

「常識はずれの野心的目標を設定して失敗したとしても、きっと何かすばらしいことをやり遂げたことになる」とはラリー・ペイジ(Google創業者)の言葉です。「困難だが不可能でないこと」にチャレンジするからこそ、人は最大の力を発揮します。

多くの企業で行われている従来型の目標管理制度では、目標を管理することで、評価を適切に行うことが目的となってしまい、社員が評価の低下を気にして、チャレンジしないという現象が起きていると言われています。

「目標管理と人事評価を結びつけない」というOKRの考え方は、本来目標管理が持っていた、「高い目標にチャレンジすることによる能力の発揮」という本質を復権させたと言えます。

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